ドンッ!!

私の頭のすぐ横に、栗ちゃんのこぶしが落ちる。
「…空気ぐらい読めよ、カース」
間髪入れずに、栗ちゃんの声が耳元で聞こえた。

栗ちゃんの声だけが、頭にこびりついて離れなかった。


…その後、自分が何をしたか覚えていない。

大丈夫?とりあえず先生来る前に座らないと怒られるよ。
そう言いながら私の体を芦田が支えてくれたことだけ、うっすらと記憶に残っている。

やがて、一時間目が始まった。