無常な響きをもったまま、チャイムが鳴り響く。 「違うの、これは私が書いたんじゃなくて、その…」 しどろもどろになりながら、説明しようとする栗。 この期に及んで、まだ私に言い訳するかと、悲しさを通り越して呆(あき)れてきた。 「…栗じゃないなら、なんで栗の指にチョークがついてるの?升田(しょうた)、あんたもやってたんだね?」 教壇(きょうだん)の上に立った私の声だけが、朝学習の時間のはずの教室に響いていた。