「…ありがとう、栗。止めてくれて」 彼女たちが去ったあと、私は芦田の机の近くへ戻る。 「いいって!でも気をつけなよ?」 そう言って、芦田の隣の席に座る栗ちゃん。 そう、この二人は席が隣なのだ。 だから気づいたのだろう。 私が何かもめごとに巻き込まれていることに。 いつも芦田の席にいるはずの私が、いなかったから。 …その時の私は、呑気にそう考えていた。