瞼に口づけると、朝露に濡れたつぼみが咲くように史香が目を開けた。
どこを見ているのか、何が見えるのか、その瞳の焦点は目の前の蒼馬には結ばれていない。
心が、震える。
俺はこんなに幸せなのに、どうして君はそんなに切なそうな目で俺を見るんだ。
こらえきれずに史香の髪に顔を埋めながらきつく抱きしめる。
「愛してるよ」
この愛が罪だというのなら、俺はそのすべてを引き受けるよ。
誓うよ。
君と分かち合うこの快楽とともに。
体を通じて会話をしながら二人の愛は深まっていくはずだった。
だが、終わりの時が近づいていた。
下半身がしびれ、意思に反した痙攣を始める。
――いや、まだだ。
文香の手首をつかみ、シーツに縫い付ける。
俺を夢中にさせた罰がまだだ。
俺はまだ……。
――くっ……。
史香の中に未練を残しながら男はうなだれていた。
達してしまえばその向こうにあるのは虚無の風景だ。
だが、それはこれまでとはちがう悟りのような境地だった。
切なくもあり、苦みもあれど、甘美な安らぎを覚える不思議な感覚に包まれていた。
女の胸に浮いた汗を舌ですくい上げると、蒼馬は腕枕をしながら史香に寄り添って寝転がった。
終わった後も興奮は静まらない。
蒼馬は髪を指で梳きながら耳や頬に口づけた。
「史香」
ささやきかけてみても、呆けた目の女からは返事がない。
蒼馬の胸に額を当てて目を閉じると、史香は静かに肩を上下させ始めた。
子守をするようにそっと手を当て、そのリズムに合わせてゆっくりと静かに背中を撫でる。
腕の中で眠ってしまった女に蒼馬は語りかけた。
俺は君を離さないよ。
ずっとそばにいてくれ。
今日から俺たち二人の時間が刻まれていくんだ。
――そうだろ?
蒼馬は史香の薬指に小指を絡めた。
俺の約束の証だよ。
目覚めたら、あらためてプロポーズしよう。
指輪の代わりに史香の手を握りしめながら蒼馬も目を閉じた。
どこを見ているのか、何が見えるのか、その瞳の焦点は目の前の蒼馬には結ばれていない。
心が、震える。
俺はこんなに幸せなのに、どうして君はそんなに切なそうな目で俺を見るんだ。
こらえきれずに史香の髪に顔を埋めながらきつく抱きしめる。
「愛してるよ」
この愛が罪だというのなら、俺はそのすべてを引き受けるよ。
誓うよ。
君と分かち合うこの快楽とともに。
体を通じて会話をしながら二人の愛は深まっていくはずだった。
だが、終わりの時が近づいていた。
下半身がしびれ、意思に反した痙攣を始める。
――いや、まだだ。
文香の手首をつかみ、シーツに縫い付ける。
俺を夢中にさせた罰がまだだ。
俺はまだ……。
――くっ……。
史香の中に未練を残しながら男はうなだれていた。
達してしまえばその向こうにあるのは虚無の風景だ。
だが、それはこれまでとはちがう悟りのような境地だった。
切なくもあり、苦みもあれど、甘美な安らぎを覚える不思議な感覚に包まれていた。
女の胸に浮いた汗を舌ですくい上げると、蒼馬は腕枕をしながら史香に寄り添って寝転がった。
終わった後も興奮は静まらない。
蒼馬は髪を指で梳きながら耳や頬に口づけた。
「史香」
ささやきかけてみても、呆けた目の女からは返事がない。
蒼馬の胸に額を当てて目を閉じると、史香は静かに肩を上下させ始めた。
子守をするようにそっと手を当て、そのリズムに合わせてゆっくりと静かに背中を撫でる。
腕の中で眠ってしまった女に蒼馬は語りかけた。
俺は君を離さないよ。
ずっとそばにいてくれ。
今日から俺たち二人の時間が刻まれていくんだ。
――そうだろ?
蒼馬は史香の薬指に小指を絡めた。
俺の約束の証だよ。
目覚めたら、あらためてプロポーズしよう。
指輪の代わりに史香の手を握りしめながら蒼馬も目を閉じた。


