「そうか。それがエイリルの聖女の力なんだね」

グレン殿下は最後まで静かに話を聞いて下さった。


「グレン殿下、私は、この力の使い方が分からないのです・・・・何が正しいのか分からない・・・・」


「もし私がエイリルと同じ能力を持っていたとしたら、もっとベルシナ国に雨を降らせたいし、国民が困っていたら力を使って助けたい。それにエイリルからの愛だって求めてしまうかもしれない」

「でもね、もしそうしたら私が亡くなった後はどうなるんだろう。やっぱり私が亡くなった後もベルシナ国が上手く回っていくような持続可能な政策を考えたい。それにエイリルからの愛は自分で勝ち取りたい」

「では、力を使う人間が悪いのか?それも違うと思う。私だって君の力を持っていて目の前でもがき苦しむ人がいたら、助けて下さいと目を閉じるだろう」

「ねぇ、エイリル。私は正解はないと思うんだ。だから、君が考えた答えを信じたい」

「何度だって言おう。私は絶対に君の味方だ」


グレン殿下が優しく微笑まれる。