私は、声をかけることが出来なかった。


誰もいなくなった部屋で、一人ただただポロポロと涙が溢れて行くのを感じた。


リベスに腹が立たないはずなどなかった。

リベスに殺害を命じたリエナ様にも。





リエナ様、どうして私をそこまで憎むのですか?






私が貴方に何をしたというのでしょう?






その時、女神の声が聞こえる。





「ふふっ、やっと人を恨めたわね。ずっと、その時を待っていたの」





何を言っているの?





「私は優しい貴方が葛藤《かっとう》するところが見たい。そして、どんな選択をするのかを知りたい」

「さぁ、時は満ちたわ」

「もう一度深く眠って。貴方の聖女の力を教えてあげる」





その女神の言葉を同時に瞼《まぶた》が重くなり、身体に力が入らない。

私は座っていたソファに倒れ込むように横になる。

私の聖女の力が明らかになろうとしていた。