話し終えたリベスは、最後に私に微笑む。


「俺は、あの時、パシュル国のために最善と取ったと信じている。例え、もう君に【恋に落ちて】後悔したとしても」

「エイリル。俺は君に言ったよね。「優しさ」だけじゃ生きていけないって」

「俺は、パシュル国を守らなければならない。王族である俺が隣国の公爵令嬢を故意に事故にあわせたなど、パシュル国に不利益が被《こうむ》る。もう俺が事故を起こした証拠は残っていない。そして、俺はこの件に関して公表するつもりもない」

「俺が証言しなければ、この件は立証出来ない。だから、真相は闇の中のままだ」

「エイリル、君は自分を殺した男を罰することは出来ない」



リベスが私に深く頭を下げる。



「俺を恨んでくれ。謝って済むことじゃない」



リベスは暫く頭を下げ続けた後、席を立ち、何も言わず部屋を出ていく。