私は目を瞑《つぶ》り、胸の前で両手を組む。


「どうかこの花を咲かせてくださいませ・・・・!」


そーっと目を開けるが、花は蕾のままだった。

分かっていたことだが、何故か少しだけ悲しくてもう一度だけ目を瞑る。


その時、グレン殿下の言葉が頭をよぎった。



「またこの花が咲いた頃に会いにくるよ」




早く咲いて欲しい。



グレン殿下に会いたい。




そう願った自分で、初めてグレン殿下に心を許し始めたのだと知った。

これが恋なのかはまだ分からない。



しかし、動揺した心のまま目を開ければ、目の前の光景はさらに私を驚かせるものだった。



「花が・・・・咲いている・・・・?」



女神よ、まだ私には教えられないのでしょうか?

このあまりに不思議な聖女の力を。