「私は、大切なものを守る人間がどれだけ強いかを知った。それでも、その出会いも思い出として終わらせなければと過ごしてきた。しかし、成長した君は聖女リエナ達に「断罪された」」

「報告を受けた私に臣下《しんか》は続けた。エイリル・フォンリースは最後まで「家族には迷惑をかけたくない」と泣き叫んだ。そして、自身の学園からの追放だけで済んだ時、エイリル・フォンリースは「とても安堵した様子だった」と」



「ねぇ、エイリル。優しい君はたくさんの大事なものを守ることに必死だ。じゃあ、誰が君を守るの?」

「私は、隣で君を守りたい。そう願ってしまった」



「優しい君は、きっと大切な人のためなら厳しい判断を下せる。それでもきっとその後に隠れてまた心を痛める。だから、どうか隣で声をかけさせて欲しい。「君の判断は間違っていない」と。私の言葉が君の勇気を出す後押しに少しでもなれば良い」

「あの日・・・・君に初めて会った幼いあの時、私は君の震える手をこうやって握ってあげたかった」

グレン殿下が私の手を握る手に力を込める。