またあの時のように瞼《まぶた》が重く、上手く動かない。


「エイリル・フォンリース、久しぶりね」


その時、またあの女神の声が聞こえた。


「ねぇ、もう一人の聖女と話したのでしょう?どうだったかしら?・・・・まぁ結局、貴方が毒を盛られただけだったわね」

「今の所、このゲームはもう一人の聖女・・・・つまりリエナの方が優勢《ゆうせい》ね。だって、貴方はまだ聖女の力を知らないもの」


私はリエナ様に毒を盛られた。

リエナ様はそのために私を屋敷に招いたのだろう。

リエナ様は私の聖女の力のせいで私を恨んでいるようだった。


「聖女の力が知りたいの?ふふっ、でもまだダメよ。それに貴方はきっと聖女の力を知っても、【上手く使えない】。だって、【優しい】もの」

「何度でも言うわ。この聖女の力は貴方が【優しい】から授けたの。貴方が優しいからこそ、貴方にこの力を授けることは【面白い】」

「さぁ、早く目を覚まして。毒を飲んだのは幸《さいわ》い一口だけだったおかげで、亡くなりはしないわ」


女神の声が遠くなっていく。

女神の面白い試合を観戦しているかのような楽しそうな笑い声が聞こえた気がした。