いや正しく言えば、学園を追放される「だけ」で済んだのだ。

第二王子であるルーマス・ヴィルシュトンのほか多くの貴族たちが私にもっと重い罰を与えようとしていた。

しかし「家族には迷惑を掛けたくない」と泣き叫ぶ私を見て、聖女リエナは学園を追放するだけで済ましてほしいと第二王子ルーマスに抱きついた。

周りにいた全ての生徒が、聖女リエナの慈悲深さに感嘆を受けていた。



もう一度言う。

【私は何もしていない】



そして、それを知っていた人間も多数存在していた。

しかし、そこにいる全ての人間が私を悪だと【信じ込んでいた】

それが聖女の力とでもいうのだろうか?


「エイリル・・・・?」


お父様が何も話さない私を見て、さらに心配そうな瞳で私を見つめている。