「なんでもないよ?パシュル国はいつでもエイリルを歓迎するって言っただけ」

そう仰って笑ったリベスは、もう自分に踏み込ませる気がないようだった。



「今日は力になれなくて悪かった。また、今度エイリルの話を聞かせて」



「リベス、待っ・・・・!」



私はリベスを引き止めようとしたが、リベスは私にひらひらと手を振って帰っていく。

リベスはまだ私を信用していないのかも知れない。

それでも、リベスの言葉が頭に残っている。



「この国には、聖女がもう一人いるよね?確かリエナだっけ?彼女に聞いたらダメなの?」



聖女同士は力が効かない。

それに今、聖女の力について一番詳しいのはリエナ様だ。

もう逃げている場合ではないのかも知れない。

窓の外に見える空が、嫌味なほどに美しく輝いていた。