「エイリル、目を覚ましたのか」

当主であるお父様が私の顔を覗き込んでいる。

「ええ、御心配をおかけしましたわ」

「それは良いのだが、身体は大丈夫なのか?」

「身体は医者が仰った様に傷一つありませんわ」

「それは良かった・・・・まるで奇跡だな」

きっとこれはあの女神の力だ。

先ほどの女神との会話もまだ受け入れ難いが、この状況が現実だと告げているようだった。

お父様はまだこの事故を大事《おおごと》にはしていないと仰ったので、怪我人もおらず、私も無事であるので大事にしないように頼んだ。