「エイリル嬢、しばらく王宮の客室に泊まらないか?そうすれば、護衛をもっと付けることが出来る」

「お気遣いありがとう御座います。しかし、今困っている領民を放っておけませんわ」

「そうか・・・・」

グレン殿下が私の肩に顔をそっと乗せる。

「グレン殿下!?」

「すまない。久しぶりに君に会ったものだから、嬉しくて。もう暫くだけこうさせてくれ」

グレン殿下の切なさの混じった声に私はそっと頷《うなず》くことしか出来なかった。




コンコン。





「そろそろ俺が嫉妬しちゃうんだけど」





いつの間にか扉が開いている。

驚いて振り返った私は、立っていた男性を見て固まる。

グレン殿下がさっと立ち上がり、男性に向かって礼をする。