「聖女リエナがこの水不足で困っている地域を回っている。そして、【蕾を花に成長させる】力で民を元気づけているそうだ」

「・・・・どういうことでしょう?」

「国民の聖女リエナへの心酔が広がっているということだ。私の直属の臣下に調査させた所、聖女リエナと話した国民は聖女リエナに【尋常じゃなく】心酔していたそうだ」

「っ!」


「国民を言葉で操っている可能性が高い。もし、聖女リエナがむやみに聖女の能力を使っている可能性を国王も危惧《きぐ》している。国王は信頼をおける臣下には聖女リエナとの接触を禁止したそうだ・・・・ただ、証拠がない」

「国王は私に信頼をおいて下さっているので、私の言葉を一つの可能性として信じて下さったが、状況が悪化していると考えるのが妥当だと思う」

「聖女リエナがエイリル嬢をこれ以上貶《おとし》めるとは考えにくいが、これからは前よりも聖女リエナを警戒してほしい」


「・・・・分かりましたわ。幸《さいわ》い最近は屋敷でお父様のお仕事を手伝うことがほとんどで、あまり屋敷を出ていません。使用人には、リエナ様に注意するようお父様が命じました」

「そうか。ただ、注意はこれからも怠《おこた》らないでくれ。すまない。私がもっと近くで君を守れたらいいのに」

グレン殿下と目を合わせる。