私はリベスの方へ向き直り、深く頭を下げる。

「助言ありがとう。私に出来ることを考えてみるわ」

「怒らないんだ?」

「え?」

「俺、貴族令嬢に対して大分叱《しか》ったけど」



「どうして?今のは怒ったんじゃくて、助けてくれたんでしょう?」



「ははっ!もっと弱くてただ慈悲深い女かと思ってた。なんだ、エイリル結構良い女だね・・・・ちょっと欲しくなっちゃったかも」



リベスが私の頬に手を触れる。



「キスしていい?」



「っ!だめに決まってますわ!」



私はリベスの手を振り払う。

「なんだ、ちゃんと拒否して、俺の手を振り払えるじゃん。エイリル、それが大事だよ。優しいだけじゃ、すぐに俺みたいなやつに食われちゃうよ?」

「・・・・リベスが優しいことは分かりましたわ」

「俺が?冗談でしょ?」

「さっきから私に助言しかしていないもの。からかうフリをして、意地悪なフリをして。ただ優しいだけなのは、リベスの方ですわ」

「ははっ!じゃあ、俺もまだまだだね」

その時、木の影から誰かがリベスに声をかける。