「私がこの国、ベルシナ国に出来ることは何なのでしょう・・・・?」

ずっと本当は不安だった。

今の聖女の力すら分からない状況で、私はグレン殿下の役に立てることなどない。

私の不安に満ちた顔を見たグレン殿下が、そっと私の頬に触れる。

その時、馬車が目的地に着いて停車する。


「私はエイリル嬢に初めて会った時、こう言ったんだよ?」

「まずは私に愛されてみないかい?、と。ねぇ、エイリル嬢。まずは君は幸せにならないといけないんだ」

「私は君が幸せなら、私は君が聖女ですらなくて良いと考えている」


「グレン殿下・・・・?」


「この国は王族である私が責任を持って、臣下《しんか》と共に良い方向に必ず導く。もちろん、君の力を借りられるのなら借りたいが、それが全てじゃない」

「私は、ただ愛する者が幸せだあって欲しいだけなんだ。そして、出来るなら愛する者が笑顔でいる手助けを隣でしたい」

「だから、エイリル嬢。君は何も急がなくて良い。どうか安心して私を頼ってくれ」


一粒の涙が頬を伝《つた》ったのが分かった。