SIDE:RENA《サイド :リエナ》


私はベルシナ国の聖女。

国民皆に愛されるべき存在。


「リエナ、今日は一緒に街へデートへ行かないか?」

「行きたいですわ!ルーマス様が連れて行って下さいますの?」

「ああ。今日はリエナを独り占めさせてくれ」


ルーマス様は我がベルシナ国の第二王子である。

独り占め、か。

独り占めなんてしないで。

私はもっともっと沢山の人に愛されなければならないの。

私はそっと両手を目の前で組んで、目を瞑《つぶ》る。

「リエナ?」


『今日は、公爵子息のクリス様と公爵令嬢のフレース様、男爵子息のヴァン様も一緒に行くはずでしょう?』


「・・・・ああ、そうだったな」

ルーマス様が虚《うつろ》な目で了承した。

しかし、すぐにいつも通りのルーマス様に戻る。