私はもう一度、鏡の前に立つ。

綺麗なドレスに、美しく結ってある髪。

私は鏡に向かって、笑顔を向ける。




「行ってきます」




パーティ会場には、もう沢山の人々が集まっている。

私は、会場の隅で私を待っているグレン殿下の元へ歩いて行く。

グレン殿下は私に気づき、そっと手を差し出した。



「エイリル、とても綺麗だ」



私はグレン殿下の手に自分の手を重ねる。

そして、そっと握った。



「グレン殿下、私、今幸せですわ」



私がそう述べると、グレン殿下は私の手を握る手に力を込める。




「もう離さない。愛しているよ、エイリル」




「さぁ、行こう?」




私たちは、明るく照らされたパーティ会場へ一歩を踏み出した。