「リエナ様、では貴方は私の聖女の力を持っていたとしたら、【何を願うというのですか?】貴方の今の願いを教えて下さいませ」



私はリエナ様と目を逸らさない。




「そんなの、もっと愛されたいに決まってるじゃない!それにもっと色んな願いを叶えるわ!私はもっと幸せなならなくちゃいけないの!」




私はリエナ様にゆっくりと近づいていく。





「では、自力で叶えて下さいませ」





「っ!」





「私は、リエナ様の前世を良く知りませんわ。それでも、貴方はほとんど何も願うことすら出来なかったほど、希望がなかったのでしょう」

「願いは希望ですわ。しかし、この世には叶えられないことも沢山ある。それでも、叶えられることも必ずあるのです」

「ねぇ、リエナ様。私だって、貴方が羨ましい。愛嬌があって、苦しみを知っていて、それを変えたいと思う勇気がある。それでも、「羨ましい」と「憎い」は違う」

「この世は平等ではありませんわ。自分に無いものを持っている人はいる。羨ましいと思わない方が無理ですわ。それでも、皆、自分なりの幸せを見つけることに必死なのです」

「リエナ様、貴方の願いが「幸せになりたい」ならば、貴方は自分で幸せを掴まなくてはいけない」

「だって、リエナ様が幸せか判断するのは、リエナ様自身ですもの。そして、リエナ様を幸せに出来るのも、リエナ様だけですわ」



リエナ様の目の前まで近づいた私は、深く一度だけ息を吐き、リエナ様に向き直る。