縁切りの神様と生贄婚 ~村のために自分から生贄に志願しましたが、溺愛がはじまりました~

☆☆☆

それから数時間後。
薫子は朝食を作るために土間にいた。

すでに味噌汁のいい匂いがしてきているけれど、どうも料理に集中できない。
切神の言い分も理解できるけれど、千桜と冴子へ対する処罰がおもすぎる気がしてならない。

昨日のことを思い出すと薫子の胸は痛むけれど、なにも村から追放しなくてもと思ってしまう。
ぼーっとしながら漬物を切っていると、つい手先がぶれてしまった。

「痛っ」
指先を切ってしまってジワリと血が滲んでくる。

久しぶりに刃物で指を切ったため、その痛みは全身に駆け抜けていくようだった。
「どうした、大丈夫か?」

薫子の声を聞きつけて切神がすぐにやってきてくれた。
「派手に切ったな」

薫子の手を少し乱暴に掴んで、水で血を洗い流す。
大げさに出血しているけれど、傷口は浅そうだ。