「ただ、薫子に似合うと思って持ってきた」
「こんな高価なもの私が似合うとは思えません」

「そんなことはない。ぜひ、着てみてほしい」
神様にそこまで言われたら断ることはできない。

薫子はそっと着物に手を伸ばした。
触れるのも気後れしてしまいそうな高級品だ。

「着替えるので、少し後ろを向いていてください」
「わかった」

薫子は切神が背を向けるのを確認して、着物を両手で持ち上げたのだった。