縁切りの神様と生贄婚 ~村のために自分から生贄に志願しましたが、溺愛がはじまりました~

「わ、私は生贄の花嫁としてここへ来ました。だから神様に命を捧げるのは当然のことです」
背筋を伸ばしてそう言うと、切神が冷たい視線を向けてきた。

その凍るような視線に薫子に緊張が走る。
「生贄と言っても花嫁だ。私は自分の花嫁を殺したりはしない」

「で、でも、盗賊を追い払ってくださいましたよね」
「それが村人からの願いだったからな。私にとって、それとこれとは関係ない」

「じゃあ、私は一体何のためにここにきたのかわからなくなります」
思わず身を乗り出して言った。

あんなに盛大に村の人々から送り出されて、今更帰るわけにもいかない。
「何を言ってる。薫子はもう私の妻だ。夫婦が一緒にいるのは当然のことだろう」

「夫婦」
その言葉を繰り返して薫子の顔がボッと火を吹く。

真っ赤になってうつむき、黙り込んでしまった薫子を切神は心配そうに見つめた。