縁切りの神様と生贄婚 ~村のために自分から生贄に志願しましたが、溺愛がはじまりました~

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菊乃が温かいてぬぐいで兄弟の体を拭いている間もふたりは目を覚ますことはなかった。
時折うなされたように「大志」「勇」とつぶやいている。

おそらく大志が兄の方の名前で、勇が弟の方の名前だとわかった。
意識が混濁している状態でも互いのことを気にしているのがわかって、薫子は泣きそうになってしまった。

菊乃が兄弟の体を綺麗にしてくれると、ふたりとも美形と呼んでいい顔立ちをしていることがわかった。
ただ、今は痩せ過ぎて頬骨が浮き出ている。

少しでもなにか食べさせたいけれど、意識がない内は難しかった。
薫子は薬草を混ぜた水で兄弟の唇を潤すことにした。

少しでも薬草が効果を出して目を覚ましてくれればいいけれど。
そう思ったが、兄弟は苦しそうに呼吸をするばかりだ。

「可哀想に。両親はどこへ行ったのかしら」