「……ありがとう、存じます」
ひどいことを頼んでいる。完全に甘えている。そう、わたしでも分かる。
だというのに、ことさらうつくしい笑みを浮かべたメルバーン卿は、「いや」とゆっくり首を振った。
「いつまで、お邪魔していてもいいだろうか」
優しい言い回しは、こちらを怖がらせないための配慮に満ちている。
「いつまででしたら、お時間がありますか?」
「一晩中かな。いつまででもいられるよ」
「あら……」
お互いに譲り合って、全然終わりが決まらない。
「うーん、困ったな」
「わたしは嬉しいですわ」
ありがとう、と律儀に相槌を打ったメルバーン卿は、膝の上で両手を組んだ。
「ジュディス文官、明日は休みだろうか」
「休みではありませんが、時間はたっぷりありますわ。日中は好きに使えます」
「では、もっと夜が更けても構わないな?」
「え? ええ、もちろん嬉しいですが……」
意図を掴み損ねて瞬きを繰り返すわたしに、メルバーン卿が優しく笑った。
「星でも眺めながら、もう少し夜更かししないか」
あなたが眠るまで、そばにいる。
ひどいことを頼んでいる。完全に甘えている。そう、わたしでも分かる。
だというのに、ことさらうつくしい笑みを浮かべたメルバーン卿は、「いや」とゆっくり首を振った。
「いつまで、お邪魔していてもいいだろうか」
優しい言い回しは、こちらを怖がらせないための配慮に満ちている。
「いつまででしたら、お時間がありますか?」
「一晩中かな。いつまででもいられるよ」
「あら……」
お互いに譲り合って、全然終わりが決まらない。
「うーん、困ったな」
「わたしは嬉しいですわ」
ありがとう、と律儀に相槌を打ったメルバーン卿は、膝の上で両手を組んだ。
「ジュディス文官、明日は休みだろうか」
「休みではありませんが、時間はたっぷりありますわ。日中は好きに使えます」
「では、もっと夜が更けても構わないな?」
「え? ええ、もちろん嬉しいですが……」
意図を掴み損ねて瞬きを繰り返すわたしに、メルバーン卿が優しく笑った。
「星でも眺めながら、もう少し夜更かししないか」
あなたが眠るまで、そばにいる。


