【SS】それは、無自覚な愛情。

 女性を誘惑して遊んでいるときの、遊雅様の視線のよさは分からない。

 けれど、真面目でやさしいときの…私が敬愛している遊雅様の視線は…。




「先ほどの発言。撤回しないでください」


「はぁ?」


「コツを掴みました。私、遊雅様に恋ができそうです」




 これは思ったより、簡単な仕事かもしれない。

 仕事を果たせる喜びで頬がゆるむと、遊雅様は目を丸くして、「なっ」とほんのり頬を赤くした。




「つきましては、大旦那様にご報告を。私が恋をすれば、遊雅様は女性と遊ぶのをやめてくださるんですよね?」


「そ、そりゃあお前が本気になったら、責任を…い、いや、冗談だろ!?また演技でっ」


「…なるほど。私も本気であることを証明しなければならないのですね。かしこまりました」