【SS】それは、無自覚な愛情。



 拗ねたような声音におどろく。




「…まさか、本気にされたのですか?遊雅様は変なところで真面目ですね」




 遊雅様のお顔を(のぞ)きこむと、横目に視線が合った。

 けれどすぐに、ついっとそらされる。

 目元がほんのり赤くなっていた。




「使用人のケアは主人の仕事だろ。お前だからじゃない」


「そんな仰り方をされずとも…」




 普段、女性ばかりを誘惑して遊び歩いている遊雅様だけれど。

 そんな彼にも、敬愛を抱けるところがある。


 それは遊雅様のメイドとなった、2年前のあの日から変わらず…。




『へぇ~、僕にメイド?かわいいね、君。バイトするなんて、僕と同い年かな?』


『いいえ。13です』


『えっ、中2…!?僕の2つ下じゃんか。ちょっと、なんでこんな子が働きに来てるんだよ。九条はそこまで堕ちたわけ?』