【SS】それは、無自覚な愛情。



 遊雅様はぼやくように言って、私の体を離す。

 榛色の、真摯な視線が私に注がれた。




「主人だから、お前を大事にしてきたつもり…でもそれが勘違いだって、こんなことになってから気づいた。――好きだよ、來佳。女の子として」


「!」


「この言葉、そばで見てきたお前なら、他の誰にも言ってないってわかるね?」


「はい…っ」




 遊雅様は、ふっと、力を抜くように笑う。




「仕方ないから、來佳は僕の手で幸せにすることにする。他の男より、僕の方がお前を大事にできるからね」




 そう言った遊雅様は、私を抱き上げて、車を止めている方に歩いて行った。




「ゆ、遊雅様っ、1人で歩けます!子供扱いは…っ」


「言っただろう、僕は來佳を大事にするって。これは子供扱いじゃなくて、恋人扱い。それに…そんなかわいい顔を見たら、離せない」




 遊雅様は私の顔を見て、やさしく微笑む。


 恋に落ちて、遊雅様の魅力全てに気づけたと思った。

 でも、それは勘違いだ。


 遊雅様は私の知らない魅力を、まだまだ隠し持っている――。




[終]