【SS】それは、無自覚な愛情。

「なにを了解したんだ、やめろ!いいか、僕なんて遊んでばっかりの男だ、お前はもっと誠実な男と恋をしろっ」


「確かに遊んでばかりですが、遊雅様も根は誠実なお方ではありませんか」




 言い出しっぺがなにをいまさら焦っているんだろう…。

 発言の撤回なんてされて、働き損になっては困る。

 これはやはり、大旦那様を巻き込んで遊雅様があと戻りできないように手回ししなくては…。




「バカが、三男だぞっ。これから大学には行くとしても、就職したら九条の血なんて役に立たない、ただの一般人になるんだ!」


「いいえ、遊雅様は“一般人”では留まりません。私が、その才覚を存分に発揮できるようお仕え致します」


「だから、お前にはもっと幸せになれる道があると…っ。あぁもう、今まで僕に(なび)かなかったくせに、今さらなんなんだ!」