どう返事をしようか悩んでいると、安田が澄恵の書類を確認しはじめた。


「これ、京野さんの仕事じゃないか」


京野とは、久美の名字だ。


澄恵は仕方なく頷く。


安田にバラしたと思われたら後々面倒だから、黙っていようと思ったのに……。


「まったく。困った人だな」


安田はそう言うと書類の半分を自分の席へと移動させた。


「2人でやれば速く帰れるよ」


「そんな……!」


「遠慮しないで。俺はどうせ毎日残業してるんだからさ」