***
私は教室に置いたままだったカバンを取って来て、柊さんと一緒に車へ急いだ。
運転手さんは杏くんがいないことを不思議そうにしていたけれど、そっちは柊さんが答えてくれた。
その間に、私は今回の任務の上司でもあるお母さんに電話をかける。
数コール後、お母さんはすぐに電話に出てくれた。
『望乃ちゃん? どうしたの? こんな時間に電話してくるなんてめずらしいわね?』
「ごめんなさい、杏くんがさらわれてしまいました」
『えっ!?』
普段と変わりない様子のお母さんに、私は単刀直入に報告する。
「【朧夜】の例の男の子がクラスメートだったの。ごめんなさい、すでに入り込んでるって可能性を考えていなかった」
私の謝罪混じりの報告に、状況を把握したお母さんはいつもの優しい声をきびしいものに変えて話した。
『その可能性を指摘しなかった私も悪かったわ。でも反省は後よ。今は救出が優先』
「うん」
怒られる覚悟もしていたけれど、お母さんは一方的に責めることはしなかった。
それよりも、今しなきゃいけないことを決めていく。
『救出するにしてもまずは居場所を特定しなきゃならないわね』
「うん。でも私、杏くんのGPSは共有してなくて……」
美奈都さんに言われて共有したのは柊さんのGPSだけだ。
基本側にいる杏くんのものまでは共有していない。
私は教室に置いたままだったカバンを取って来て、柊さんと一緒に車へ急いだ。
運転手さんは杏くんがいないことを不思議そうにしていたけれど、そっちは柊さんが答えてくれた。
その間に、私は今回の任務の上司でもあるお母さんに電話をかける。
数コール後、お母さんはすぐに電話に出てくれた。
『望乃ちゃん? どうしたの? こんな時間に電話してくるなんてめずらしいわね?』
「ごめんなさい、杏くんがさらわれてしまいました」
『えっ!?』
普段と変わりない様子のお母さんに、私は単刀直入に報告する。
「【朧夜】の例の男の子がクラスメートだったの。ごめんなさい、すでに入り込んでるって可能性を考えていなかった」
私の謝罪混じりの報告に、状況を把握したお母さんはいつもの優しい声をきびしいものに変えて話した。
『その可能性を指摘しなかった私も悪かったわ。でも反省は後よ。今は救出が優先』
「うん」
怒られる覚悟もしていたけれど、お母さんは一方的に責めることはしなかった。
それよりも、今しなきゃいけないことを決めていく。
『救出するにしてもまずは居場所を特定しなきゃならないわね』
「うん。でも私、杏くんのGPSは共有してなくて……」
美奈都さんに言われて共有したのは柊さんのGPSだけだ。
基本側にいる杏くんのものまでは共有していない。



