最強メイド!おぼっちゃまたちをお守りします!

 梶くんに瞬時に近づいて、胸倉(むなぐら)をつかむ。
 そのまま投げ飛ばそうとしたんだけれど。

「おっと、甘いよ」

 余裕の声で胸倉をつかんだ手をにぎられた。

「なにを!?」

 簡単に投げ飛ばせると思ったのに出来なくて驚いていると、もう片方の手も掴まれてしまう。
 一度離れようとつかまれた手を外そうとするけれど、ビクともしない。

「っ~! 離してよ!」

 言ったって聞き入れてくれないってわかっていたけれど叫ぶ。
 そんな私を梶くんは至近距離(しきんきょり)で楽しそうに見下ろしていた。

「のんちゃんって甘っちょろいんだな? 同年代のヴァンパイアと戦ったことないの?」
「っ⁉」

 指摘されたことに言葉がつまる。
 だって、事実だったから。

「同い年で、同じヴァンパイアなら、純粋に男の方が力があるのって普通じゃん?」
「くっ!」

 くやしいけれど、そこに思い当たらなかったから今こうしてつかまってしまってる。
 言い返せない私に、梶くんはなおも話しかけてきた。