最強メイド!おぼっちゃまたちをお守りします!

 天然パーマなのかゆるやかに波打っている茶色の髪。
 落ち着いている様子だけれど、つかみどころのないような不思議な茶色の目。
 まるで絵本から飛び出して来た王子様みたいなカッコイイ男の子がそこにいた。

 ただ、なぜか近くに二十センチくらいのコウモリみたいな形をしたロボットが飛んでいる。
 男の子がスッと人差し指を横にして上げると、コウモリロボットはその指に逆さに止まって翼を閉じた。

 翼を閉じて十センチくらいになったコウモリロボット。
 それをシャツの胸ポケットにしまうと、男の子はニコリともせずに私を見て子小首をかしげる。

「お姫様みたいに可愛い子だね。……でもメイドなんだ?」
「は? へ?」

 ヴァンパイアは基本美男美女らしいから、確かに私も可愛い顔をしていると思う。
 でも無表情で淡々と言われても可愛いとほめられている感じがしない。
 そのせいでなおさら戸惑った。

「で? きみはあやしいメイドなの?」

 重ねて聞いて来る彼に、私は反射的に「違います!」と答える。

「私、今日からここで働くことになっている弧月望乃って言います!」

 勢いのまま、なんとかやっと名乗りを上げられた。

「ああ、そういえば(きょう)と同じ年の子が護衛につくって聞いたけど……きみのことか」

 話は通っていたのか、つぶやいた男の子は相変わらず無表情のまま納得する。
 少なくともあやしくはないと証明出来たみたいでホッとした。