最強メイド!おぼっちゃまたちをお守りします!

「香澄ちゃん、月曜話そう? 私お仕事しなきゃないから」

 いつもは冗談交じりだけど、お仕事頑張ってねって応援してくれる香澄ちゃん。
 だから仕事だって言えば納得してくれるかなと思ったんだけど……。

「ダメよ。まだ行っちゃダメ!」
「え?」

 私の腕を掴んで引き留める香澄ちゃんは、とっても必死そうに見えた。
 ここまで引き留めるなんて、他に何か理由があるのかな?
 そう思って詳しく聞こうと思った私に、香澄ちゃんはおかしなことを言い始める。

「梶くんの用事が終わるまで行かせるわけにはいかないの」
「どうして……梶くんの用事ってなに?」
「なにって……あれ? どうして私、望乃ちゃんのお仕事の邪魔してるんだろう?」
「香澄ちゃん?」

 なんだか、様子がおかしい。

「私はちゃんと望乃ちゃんのお仕事を応援しようって思ってたのに……応援……そうだ、梶くんを応援しないと」

 言動がちぐはぐだ。
 私はこんな状態の人をつい最近も見た覚えがある。
 催眠術をかけられた玲菜さんだ。

「っ!」

 気づいた途端、私はちょっと強引に香澄ちゃんの手を外す。

「香澄ちゃん、ごめんね!」

 言い終えるとすぐに本気で走り出した。