「だから望乃ちゃんに柊のGPSを共有してもらうわ」
「え?」
「柊が一人で学園の外に行っていたらそれはさらわれたってことよ。だから、望乃ちゃんには定期的に柊の居場所を確認して、もしもがあったら助け出して欲しいの」

 真剣な様子に、美奈都さんは私以上に柊さんを心配しているんだってわかる。
 そりゃあそうだよね、母親だもん。
 先日の誘拐未遂事件のときのことを思い出しても、三兄弟を大事に思っていることは伝わってきた。

「わかりました。柊さんも杏くんも、絶対に守ります」


 というわけで、私は休み時間のたびにスマホで柊さんの位置を確認している。
 ちょっとストーカーっぽいかな? と思ってしまうこともあるけれど、護衛のためだし!

「のんちゃん、何してんの?」
「うひゃあ!?」

 何となーくいたたまれない気持ちがあったからか、梶くんに呼ばれて大きくビクッと震えた。

「な!? どうしたんだよ、そんなに驚いて」
「い、いや。なんでもないよ!」

 目を見開いて驚く梶くんに謝ると、何をしていたか聞かれたくなくてすぐに聞き返す。

「それより何? 私に何か用事?」
「あ、いや。カスミンどこ行ったのかなと思って。伝言頼まれたんだよ」

 どうやら用事があるのは私じゃなくて香澄ちゃんにらしい。