最強メイド!おぼっちゃまたちをお守りします!

「玲菜さん、大丈夫ですか? 意識はハッキリしてますか?」
「え? あ、望乃ちゃん? ごめんなさい、何だか頭が混乱していて……ところどころ記憶が途切(とぎ)れてるし」

 やっぱりだ。
 これ、ヴァンパイアに催眠術をかけられた人の特徴(とくちょう)と似てる。

「記憶が途切れちゃったりする前に誰かと会いませんでしたか?」
「え? えっと……ああ、望乃ちゃんがドレスに着替えるとき、外にいた護衛の人を連れてくる前に男の子にぶつかっちゃって……」

 それからかな? と頭を押さえながら教えてくれた。

「分かりました。とりあえず玲菜さんは紫苑くんのそばにいてあげてください」

 背中をそっと押してうながす。
 きっと、玲菜さんに催眠術をかけたのはこの場所に誘導(ゆうどう)するためだと思う。
 だから催眠術の効果はすぐに切れるはず。

 かけたらしき人物が男の()っていうのが気になるところだけれど、今はそこまで追求している状況じゃないよね。
 柊さんたちを守るため、私も護衛に囲まれている彼らのそばに行く。
 その頃には相手の方も準備が整ったのか、一触即発(いっしょくそくはつ)な雰囲気になっていた。

「……さて、そこにいる常盤三兄弟を渡してもらおうか?」

 覆面男たちの中の一人が、布ごしのくぐもった声でつげる。

「……渡すわけないですよね?」

 他の護衛さんたちが何も言わないので、私が答えた。