私の【ウニークス】のこととか、犯罪組織【朧夜】のこととか。
 色々思い悩むところはあるけれど、今一番大事なのは依頼された護衛任務だ。

 今日は約束していたお買い物の日。
 護衛としてしっかり準備していかなきゃね!

 いつものメイド服に身を包んで、今のところ活躍する機会がなかったクロちゃんをしっかり装着(そうちゃく)する。
 くるりと回るとメイド服のスカートがふわりとふくらんで、いつも二つに結っている長い髪が一緒にくるんと回った。

「よし! これで準備は万端!」

 自分の部屋でそう宣言した私は、三兄弟と一緒に出るために玄関の方へ向かった。
 今日は紫苑くんと玲菜さんも一緒なので大き目のワゴン車でのお出かけだ。
 他にも人間の大人の護衛が別の車に乗ってついて来るらしいけれど、この車に乗るのは運転手さん以外だと三兄弟の他は私と玲菜さんだけ。

 そのせいかな?
 見送りに来ていた登代さんにいつも以上に念を押されたのは。

「玲菜さん、紫苑さまから絶対に目を離してはいけませんよ?」
「はい、心得ています」

 いつもの(きび)しそうな顔で玲菜さんに言い聞かせた登代さんは、次に私を見る。

「今回は大人の護衛もついていますから問題ないとは思いますが、油断大敵(ゆだんたいてき)です。気を引き締めて行ってきてください」
「はい! もちろんです!」

 元気よく気合を込めて返事をすると、丁度柊さんたちも来て私たちは車で街へと向かった。