屋敷に帰って来てから、私は夕食の時間まで部屋にこもっていた。

 美奈都さんたちにバレるなって言われたのに、これじゃあバレたも同然だよね!?
 血をなめただけなら何か理由をつけて誤魔化せたかもしれないけれど、傷が治っちゃってるもんね。
 そんな不思議現象どう誤魔化せばいいのか分からないよ!

 それに、ガマン出来ずに血をなめちゃうなんて……やっぱり吸血衝動がはじまっちゃったのかな?

「……一応、血液パック頼んでおいた方がいいかな?」

 つぶやいてからとりあえず一つ頼んでみることにする。
 万が一本当に始まっちゃってたら、血液パックがないと困ったことになっちゃうから。
 あまり使っていないスマホをトントンとタップして操作し終えると、私は大きなため息を吐いた。

「本当、なんて説明しよう……」


 悩みに悩んだけれど良い案は出ないまま夕食もすんでしまう。
 私はメイド服のまま、柊さんの部屋に向かった。
 初日は迷い込んで行ってしまった青いカーペットの辺り。
 行きたくなくて、背中を丸めて歩きながらつぶやいた。