そうして本格的な護衛任務がはじまったんだけれど、基本的には普通に学園生活を過ごすだけ。
 できるだけ杏くんから目を離さないようにはするけれど、私も普通に授業に参加するから常に張りつくわけにもいかないもんね。

 だから学園ではほとんど香澄ちゃんと一緒に過ごした。
 たまに梶くんがちょっかい出しにくる感じかな?
 杏くんの方から私に近づいて来ることはないし。


 そうして授業も全部終わった放課後。

「じゃあまた明日ね!」
「また明日。護衛任務がんばってね~」

 早速教室を出て行った杏くんを追いかけるため香澄ちゃんに別れを告げると、軽くパタパタと手を振ってくれた。
 すると梶くんも私に気づいて声をかけてくる。

「お? 常盤もう行ったのか? いつも早いなぁ」
「そうなんだよね。だから私も急がなきゃ。じゃあね!」
「おう! また明日な、のんちゃん」

 片手を上げてあいさつしてくれた梶くんはすぐに他の女子に話しかける。
 早くもクラスになじんでいる梶くん。
 あだ名でいきなり呼ばれるから初めは引いちゃうけど、逆にそれが距離を縮める助けになってるみたい。
 陽キャだなぁと思いながら私は杏くんを見失わないように教室を出た。

 何とか杏くんに追いついて、帰りの車が停めてあるところまで護衛につく。
 ろくに会話もしないままだったけれど、ちゃんと家に帰る杏くんをお見送り出来た。

 さ、次は生徒会室に向かって柊さんの護衛だ。
 初めて行く場所だし、上級生が多い生徒会室に行くのは緊張するけれどこれも任務のため!
 気合入れて頑張ろう!

 と、決意したんだけど……。