ヴァンパイアのお母さんから聞いた話では、百年以上前にヴァンパイアとハンターは和解したんだって。
 そのとき色々法律みたいなルールを決めて、ハンターはそのルールを破ったヴァンパイアを取り締まる警察みたいな役割をするようになったんだ。

 警察みたいなものだから、別にヴァンパイアがなったっておかしくない。
 むしろ身体能力が高いヴァンパイアを取り締まるんだから、同じヴァンパイアがなれるならその方がいいよねってところでもある。

 ついでに言うと、人間のお父さんは昔からハンター家業(かぎょう)をしている家の人だから、そっちの親戚からはハンターとしての心得(こころえ)とか色んなことを教えてもらってるんだ。
 この黒い棒も、そんな父方のおばあちゃんから中学入学祝いにって貰ったもの。

 ハンターとしての闘い方とかも教えてくれたおばあちゃんらしいプレゼントだよね。
 でも私も気に入っていて、すでに相棒みたいに思ってるんだ。
 だから名前も付けて、クロちゃんって呼んでる。

 そんなクロちゃんをお供に向かう先は常盤(ときわ)邸。
 そこの三人の兄弟の護衛を依頼(いらい)されたんだ。