「それはもちろん、望乃ちゃんを迎えに来たのよ」

 笑顔で答えるお母さんに、私はドクドクと鼓動(こどう)を速めた。

「え? 待って? まだ学園には通う予定だったよね? 帰るのはゴールデンウイークのときのはずだよね?」

 久しぶりにお母さんに会えて嬉しいけれど、それ以上に困った。
 だって、まだみんなと別れたくない。
 もうちょっとだけ一緒に居られるはずだったよね?

 リビングルームを見回して、中にいる人達を見る。

 ここには美奈都さんとお母さん、そして柊さん、杏くん、紫苑くんがいた。
 状況を理解している柊さんと杏くんはフクザツな表情。
 紫苑くんは良く分かっていないだろうけど、みんなの雰囲気を感じ取ってか不思議そうな顔をしている。

「その予定だったけれどね。反省会もしなきゃならないし、【朧夜】のことについてくわしく話し合いたいってことで早めに帰ってきてもらうことにしたの」

 少しでも【朧夜】の情報が欲しいハンター協会の人たちが、私から話を聞きたいって呼び出したらしい。

 今回の件で唯一関わっていた【朧夜】のメンバー・梶くん。
 その梶くんに一番近くで接していたのは私だったからって。

「そんな……」

 気落ちしてつぶやいたけれど、ハンター協会の人の言い分は理解出来る。
 だから、予定より早いみんなとの別れだけれど受け入れるしかないんだなって思った。