最強メイド!おぼっちゃまたちをお守りします!

 ビルの裏口に回って、中に入る。
 見張りはいなかったから、すんなりビルの中には入れた。

 一階と二階に人がいないのは確認済みだけど、警戒はしていかなくちゃ。
 音を立てないように階段を上がって行くと、二階に来た辺りで誰かが下りてくる足音が聞こえた。

 すぐに(かげ)になるところにかくれて待ち構える。
 三階から下りて来たってことは誘拐犯の仲間に違いない。
 私は下りて来た男の人の背後からわき腹に拳を入れた。

「ぐあっ! なっ!? お、お前こないだのメイド小娘!」

 脇を押さえながら男は私を見て声を上げる。
 私を知ってるってことはこの間街で(おそ)ってきたうちの一人みたい。
 なら、なおさら手加減しなくていいよね。

「失礼します!」

 私はすぐに男のみぞおちにもパンチを入れて、かがんだところにひざ裏から()りを入れた。
 そうして倒れてうずくまった男の人の手足と口を、近くにあったガムテープでぐるぐる巻きにする。

「んーんー!?」

 暴れてうごめいている男は大きな芋虫みたい。
 男が動けないことを確認した私は、また気を引きしめて階段を上った。