私を落ち着かせてくれた、温かくて優しい温もり。
 さっきも今も、支えてくれると言ってくれた。

 胸の奥がキュウッと締めつけられるような感覚がしたと思ったら、お母さんが『あらあらあら!』と上司から母親に戻って嬉しそうな声を上げる。

『もう、柊くんったらカッコイイこと言っちゃって! そういうことなら仕方ないわね』

 お母さんはなぜか喜んで別の方法を考え始める。
 そういうことって、どういうこと?

『じゃあ、まずは学園の外にいる護衛と合流してちょうだい。その護衛も乗せて杏くんが連れて行かれた場所に向かい、その後は望乃ちゃん以外は車で待機すること!』

 お母さんの指示に、柊さんは「わかりました」としっかり答えた。
 護衛対象である柊さんも一緒に行くのはちょっと心配だけれど、お母さんが良いと言ったんだから私が口を出すことじゃない。
 それに、なぜか安心感もあったから。

 顔を上げて、柊さんは「良かった、一緒に行けて」と私に優しい笑顔を向けてくれる。
 そんな柊さんに私はドキドキする胸の鼓動を抑えられなかった。