最強メイド!おぼっちゃまたちをお守りします!

『ということは、美奈都も杏くんの居場所が分かるのよね? なら、柊くんは学園の外にいる護衛と合流して家に帰ってちょうだい。望乃ちゃんは折り返してまた連絡するから、杏くんを追ってちょうだい』
「うん、わかっ――」
「待ってください!」

 お母さんの指示に返事をしようとしたけれど、柊さんに(さえぎ)られる。
 ビックリして柊さんを見ると、真剣な様子で私のスマホ画面を見つめていた。

「僕も行かせてください。望乃さんは、僕が案内します」
『ダメよ、あなたは護衛対象なの。犯人がいる場所に連れて行くなんて出来ないわ』

 柊さんのお願いをお母さんはキッパリと断る。
 でも柊さんは食い下がった。

「わがままを言ってるってことはわかっています。でも、杏は大事な弟なんです。僕だけ大人しく帰るなんて出来ない」

 口調は冷静だけど、その声や表情は必死だ。
 チラッと私を見て、またスマホに視線を戻した柊さんは「それに」と続ける。

「少しでも、望乃さんを支えてあげたいんです」
「え……?」

 柊さんの言葉に、トクンと鼓動(こどう)が優しく跳《は》ねた。
 それどころじゃないのはわかっているけれど、さっき抱きしめられたことを思い出してしまう。