【書籍1巻発売&コミカライズ進行中】悪女の汚名返上いたします!

 このままでは、囚人たちが暴動を起こしかねない。そうなれば現場はさらに混乱し、取り残された者の救助はおろか、怪我人の手当もままならなくなる。

 まさに一触即発の状況に、ベアトリスは急いで見習いと囚人の間に割って入った。

「あっ、姉御っ!」

「坑道に取り残されているのは、何人?」

「バッカスの爺さんひとりだけっす。他の若い連中は自力でなんとか脱出できやした!」

「分かったわ。バッカスは私が助けに行くから、みんなは怪我人の搬送をお願い」

「いくら姉御でも、ひとりで行くなんて無謀っすよ! 俺らも一緒に」

 囚人(なかま)の申し出に、ベアトリスは首を横に振った。

「いつまた地震が起るか分からない。私は聖魔法で対処できるけど、貴方たちまで守る自信はないわ」

「わ、分かりやした。バッカスのことは姉御に頼んだ! 俺たちは怪我人を救護室へ運びやす」

「任せたわよ」

 ベアトリスは力強く言うと、意識を集中させて自身の周りに薄い魔力の防御壁を張った。
 それだけで、神聖力がごっそり削がれていく気がする。

 正直、こんな薄皮一枚程度のバリアで、崩落から身を守れるとは思えない。
 最悪、生き埋めになって命を落とすかも……。

(いいえ、怯えている暇はないわ。待っててね、バッカス。今行くから──!)