【書籍1巻発売&コミカライズ進行中】悪女の汚名返上いたします!

「わたし……心配で、来てしまいました……」

 その口ぶりから、彼女が『本物』のセレーナだと瞬時に察する。
 
(王都の隠れ屋敷にいる彼女がなぜここに?)

 疑問に思っていると、セレーナが近づいてきて小声で囁いた。

「報道を知って……いてもたってもいられず……」

「そうか。ありがとう、セレーナ」
 
「婚約者ですもの当然ですわ……どんな時も、ふたりで乗り越えます……」
 
 孤立無援でささくれ立っていた心に、彼女の優しさが染み渡る。
 
 セレーナの登場によりフェルナンが自然と剣を下ろしたことで、会場の張り詰めていた空気が若干やわらいだ。

「みなさま……父の件で、お騒がせしてしまい……申し訳ございません。詳細につきましては、後日、必ずお伝えします……」

 両目に涙をにじませ深々と頭をさげるセレーナに対し、人々はそれ以上なにも言えなかった──。