「ねぇ結希、カラオケ行かない?」

 昼休み、弁当を広げながらの友達からの誘いに、結希は眉尻を下げて微笑する。

「今日……は、ごめん、明日だったらいくらでも付き合えるんだけど」
「それでもいいけど、……この頃ちょっと付き合い悪くなってなーい?」
「え、そう、かな」

 ショートヘアが活発な印象を与える彼女、相沢和菜は高校に入学してすぐ、同じクラスになったことから一番に仲良くなった友達だった。

 結希の置かれる環境としては、その頃からすでに特別執行委員会に所属していたためそう変わっていないつもりだったが、言われてみると、今年に入って確かに委員会の活動がいくらか忙しくなっているような気がする。さらにここ最近は晴斗のこともあり、なかなか友情を育めてはいなかったかもしれない。

「そうだよぉ。お昼も週の半分どっかに行っちゃうようになってぇ」

 三つくっつけた机の上に身を乗り出すようにして、川添りなが唇を尖らせる。小柄で可愛らしい雰囲気の彼女はそうした仕草も様になる。

 一年生の頃は、昼食はいつも教室で食べていた。二年生になってもそれは変わらず、つい最近まではこうして三人机を並べて。