「――でね、まあまだ反対してる人はもちろんいるんだけど、一応認めてもらえたの」
「へー、そりゃよかったな」

 関心があるようにはとても思えない幼なじみの反応も気にせず、結希は桐生の部屋で自室であるかのようにくつろぐ。襖横の壁にもたれかかり、畳の上に脚を投げ出していた。

 小さな頃から互いの家を行き来する関係だ、最近は彼が部活に勤しんでいることもあり結希の方が時折訪れるばかりとはなっていたが、今更遠慮などない。
 今日も結希は部活終わりでの帰宅時間を狙って、アポなし訪問……押しかけたのだ。

 部屋に入るなり窓を開けた桐生は、シャツを雑にくつろげて座椅子にどかりと腰を落とし、鞄から宿題を取り出しつつ、ゆるやかに吹き込む夕風を浴びながら結希の話を聞くともなしに聞いていたが、

「それはいいとしてだな、」

 なかなか話題として触れてこないことに痺れを切らし、訪れから目についていたものを指差して示す。

「なんでソレがここにいるかの方が謎なんだけど?」

 目を眇める桐生に、結希はにっこり楽しげに笑ってそれを抱え上げる。

「借りてきた!」