当たり前だが、確証がある訳ではない。

 鬼は鬼――定義が曖昧なため別種の存在と仮定は出来るかもしれないが――人間や一般的な生き物では有り得ないのは事実。

 それでも、出会って一日様子見をした結果、問題はないのではと結論づけて引き合せることにしたのだ。自分たちの活動内容についても概ね説明を済ませ、対する反応も確認している。

「君もお手伝いしてね、晴斗くん」
「ヤダ」

 頬を米倉につつかれた晴斗は機嫌を損ねて顔を背ける。
 ふいとそっぽ向けられたその顔を、結希が覗き込む。

「ハール。ちょっとだけでも手伝ってよ」

 米倉によって乱された髪を優しく撫で整える結希の手に、晴斗は子猫のように目を細める。

「むー……ユキのためなら仕方ないな」

 仕方ない、とは言いながらも満更でもなさそうに笑った。
 人間でないとはいえ晴斗に何が出来るのか、何か出来るのか、少しばかり一緒に過ごしただけではまだわからないことばかりだけれど。
 それでもこれで、晴斗が特別執行委員会に追われることはなくなったのだ。