妖帝と結ぶは最愛の契り

「あなたが助けてくれたの?」

 そっと、腹に手を添える。
 ここに命が宿っているなど、まだ本当の意味では理解出来ない。
 腹も目立たない上に胎動も感じないのだから仕方ないと美鶴は思う。

 だが、今は何故かここに我が子がいると実感した。
 理屈ではない。なにか温かいものの存在を感じたのだ。
 その存在が、問いかけに“そうだよ”と応えるように温かみを増した気がする。

(弧月様と私の、大切な御子)

 懐妊が分かってからというもの、目まぐるしい周囲に付いて行くのがやっとで子の存在をちゃんと意識したことはあまりない。
 寧ろ母となることへの不安ばかりが浮かんでいた。

 自分は生まれた子を愛せるのだろうか。
 妹の春音ばかり気にかけ、自分をないがしろにしていた母のようになってしまわないだろうか。

 そんな不安は、正直今もある。
 だが、はじめて子の存在を感じた今。とても大事な存在なのだと実感する。

「助けてくれてありがとう。……私もあなたを守るからね」

 愛せるかなどまだ分からない。
 でも、大事で、大切な存在。
 守らなければ、と思った。